ぼくは,育休取得中の育休パパである。育休を取得してから,育休前と変わったことがあるとすれば,子育てや育児を自分の感覚でやらなくなったということだ。
それまでは,何となく「教えなければならない!」「こういう大人になってほしい!」と勝手にイメージして子育てをしていた。
うまくいったこともあれば,失敗したこともある。子育てには間違いや失敗はあっても,正解はない!という言葉を悪用していたようにも思う。
正解がないからといって,失敗してもいいとも間違ってもいいともいえないからだ。正解はひとつではなく,さまざまな道筋でさまざまな解に辿り着く。サグラダファミリアのように完成は見られないかもしれないけれど,コツコツと今できることをやっていくのみだ。
そう思って,自分の中では多くの育児書・子育て本などを読んだ。そうした中で自分のアンテナにひっかかったのは【発達障害】という言葉だった。
自分の子が発達障害なのではないかと心配する親も増えてきている。それは,もしかしたらというレベルのものから,わが子の言動でおそらくそうかもというレベルまである。
発達障害に関する本が育児書と結びつけられていること自体が増えているようにも感じる。それは,発達障害の子どもが増えたからではないと思う。(発達障害の子が増えたとされるのは学校や幼稚園の先生などがたぶんそうかなというアンケート調査に基づくもので明確に診断がついたものではないから。とは昔よりは増えているのかもしれない。社会がそうさせているのかもしれない。(個人的な感想))
発達障害の子への対応がそのまま育児にも役立つからだ。ぼくがこの本を読むきっかけになった理由でもある。さらに,育児だけではなく,他人と関わるときにもその知識があるかないかでは社会の中での生きやすさにも直結する。
知っておいて損はない。知っておくと得をする。
というわけで読んでみた『子どもの発達障害 子育てで大切なこと、やってはいけないこと』
『子どもの発達障害 子育てで大切なこと、やってはいけないこと』概要
こういった本で注目なのは著者情報。その著者が何を専門としているのか,どんな分野の人で何を前提に考えをもっているのか,それをまず理解すると言いたいことも見えてくる。
世の中に育児書や子育て本は腐るほどある。ありすぎて困るほど。著者はだいたい保育関係者,学校関係者,発達心理士,児童精神科医,おもちゃや絵本の専門家,児童や教育,発達に関わる専門家などが多い。
この本の著者はたくさん肩書があるようだ。
本田秀夫 著者情報
◎信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授
特定非営利活動法人ネスト・ジャパン代表理事
精神科医師。医学博士。1988年、東京大学医学部医学科を卒業。東京大学医学部附属病院、国立精神・神経センター武蔵病院を経て、横浜市総合リハビリテーションセンターで20年にわたり発達障害の臨床と研究に従事。発達障害に関する学術論文多数。英国で発行されている自閉症の学術専門誌『Autism』の編集委員。2011年、山梨県立こころの発達総合支援センターの初代所長に就任。2014年より現職。日本自閉症協会理事、日本自閉症スペクトラム学会常任理事、日本児童青年精神医学会理事。
要するにお医者さんということか。学者ということか。教授ということか。ものすごい経歴だ。特に発達障害に関しては第一人者といってもいいのだろう。
どうでもいいけど,第一人者っていっぱいいるよね!
というところで本筋に入っていく。あくまでもぼくが読んだ感想であり,その感想をかくためにいくつか引用させていただく。大切なことは本を読まない限り得られないので,気になる方はぜひ読んでもらいたい。最後にぼくが読んできた育児に関わる本の記事を貼っておく。子育てに関して気になるものがあればぜひ読んでほしい。
この本のおすすめポイント
この本の良いところを簡単に書いてみる。他の育児書とちがうところといってもいい。普段,読書をしない人でも読み進めていけるような工夫がたくさんある。
読者を飽きさせないようなつくりが本当に素晴らしい。この著者は本書の中でしきりに【子どもの都合で】【子ども目線で】ということを訴えている。それがそのままこの本にも反映されている。読者の都合で,読書の目線で書かれている。いかに自分のこととして捉えられるか,飽きずに読み続けられるか。少し新書にしてはボリュームがあると感じる人もいるかもしれない。そういう人は,目次を読んで気になるところや,自分が困っているところだけ読むといいと思う。(子どもが宿題をしなくて困っていたらそのページだけ見る等)
子どもを主役にする子育て
そもそも,子どもは親の都合に合わせて育っていくわけではありません。ですから,親の都合を優先していると,親はよく期待を裏切られ,イライラするかもしれません。
子どもを主役にして子育てをしていけば,そんなイライラはなくなります。子どももイライラしなくなります。
『子どもの発達障害 子育てで大切なこと、やってはいけないこと』 本田秀夫
子どもはいつも親の都合で生きている。当たり前と言えばそうかもしれない。親の都合の範囲が広すぎるからだ。仕事も親の都合といえばその通りであるし,幼稚園や学校に行かせること(行く時間,帰る時間を含む)も子どものためでもあると同時に親の都合もあるし,どこかに遊びに行くのも子どものための中に自分の都合も入れ込むこともあるし。
親が「子のため」と思っていても,子どもからすると「子ども自身の都合」になっていない場合が多い。これについては仕方がないとしか言いようがないけど,「子どものため」という大義名分を振りかざし,子ども自身がどう思っているかに目を向けないのはよくない。
子ども自身が自分のことを優先されていて,自分の要求をかなえてくれると思えば,ストレスもたまりにくく,イライラしなくなるだろうなと思った。
子どもを理解する
著者の本田さんは以下のことも言っている。
特に発達障害の子の場合,個性的な子が多いので,親の都合で「平均的」「常識的」に育てていこうとすると,うまくいきません。
特に発達障害の子の場合,個性的な子が多いので,親の都合で「平均的」「常識的」に育てていこうとすると,うまくいきません。でも親の都合を引っ込めて,子どもを主役にすると,うまくいきます。
『子どもの発達障害 子育てで大切なこと、やってはいけないこと』 本田秀夫
親は,自分の子に「こうなってほしい」「こう在ってほしい」といつも思っている。その「こう」から外れると,子どもに対して勝手に失望したり不満を言ったりしてしまう。
勝手に期待をして,勝手に失望する。子どもからしたら本当にいい迷惑だろう。かくいうぼくも無意識的にやってしまうが。
一度できたことは,いつでもできると勘違いしてしまう。その時は調子がよくてたまたまできただけなのに,次にできなかったら退化したのではと思ってしまう。
できることをやらないのは悪とは学校現場で言われていることかもしれないが,親もそうであってはいけないと思った。
子どもをよく見る。どんな子か自分なりに理解する。想像で作り出すのではなく,目の前の子どもを大事にして。
「平均的」「常識的」「少なくともこれくらいは…」これも親の都合なのだろう。
基準はその子の成長度合いによってあるべきだし,その基準とやらそのものが必要ないのかもしれない。そうはいっても不安はあるけど。
2つのスキル
著者は,発達障害の子どもには2つのスキルが必要だと考えているようだ。
「自律スキル」と「ソーシャルスキル」
これも発達障害の子に限らないと思うのでかく。
「自律スキル」とは,「人と違うことをやるべし!」ということで人に無理に合わせる必要はなく,自律的に行動できるスキルのようだ。
「ソーシャルスキル」とは,「社会のルールは守るべし!」ということで,人に合わせる必要はないが,最低限のルールは守るスキルのことだ。
無理に人に合わせることでしんどくなるくらいなら,ちがうことをしてもいい。人と同じになる必要はない。同じことをする必要もない。
子どもの「やりたい」は最強
子どもはやりたいことをやっているときに自信をつけ,成長していくものです。やりたいことをやるのが一番です。
『子どもの発達障害 子育てで大切なこと、やってはいけないこと』 本田秀夫
❝「子どものやりたい」と「親のやらせたい」はちがう。❞とも書かれている。
やりたいことをやっているときが一番成長するって目から鱗というか,膝を打つというか。
「やりたいことばっかりやっていると,成長しないよ!!」みたいなことってよく言われると思う。「やりたくないこともやらないと成長しないよ!!」これもその通りだなと思う反面,おそらくコスパはよくない。
やりたいことをやっているときのほうが絶対に身につく。やらされたことが身についた試しなんてほとんどない。そこで得られるのは,「やれと言われたことをやらされると大人は満足する」ということくらいだろう。
やりたいことを夢中でやっているときこそ,自分の身なり骨となる。今の世の中では,ゲームも他者と関わりながらやるものだ。そこで人間関係,社会性を学ぶこともある。もちろん,リアルな人間関係も大事だが,ぼくたちの時代とちがうのは,バーチャルな空間での立ち回りも学んでおいて損はないということ。
まとめ
以上についてかいてきた。
ただ,この本には本当にたくさんの子育てについての素晴らしい考え方がかかれている。
くわしく知りたい人は,ぜひ本書を。
以下,ぼくが今まで読んだ子育てに関する本の感想の記事なので参考に。
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