『子どもはみんな問題児。』を育休中の30代パパが読む【子育てパパ必読書】

育休中に読んだ本
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焦らないで,だいじょうぶ。

悩まないで,だいじょうぶ。

子どもをよく見ていれば,だいじょうぶ。

子どもは子どもらしいのがいちばんよ。

『子どもはみんな問題児。』 中川李枝子 著 はじめに

ぼくが購入した本書『子どもはみんな問題児。』の帯にはこんな言葉が書かれていた。

この言葉だけでも,救われる方がいるのではないだろうか。

子育てとは,焦るものだし,悩むもの。

焦らなくてもいい,悩まなくてもいいと言われると,「え,ほんと!?」となる。

加えて「子どもらしい」って?という疑問もわいてくる。

こんなことを言う人は,さぞ子育てのプロなのだろうな…ということでまずは,この書籍の著者がどんな方なのか。

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子どもはみんな問題児。 [ 中川李枝子 ]
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宮崎駿監督が尊敬する中川李枝子さん

ぼくが,この本を読むことになったのは,アニメ界の巨匠,宮崎駿監督がきっかけだった。前回紹介した書籍『本へのとびらー岩波少年文庫を語る』で,中川李枝子さんについて触れられていたからだ。

中川李枝子さんは,もともとは保育園で働く保母さんで,その経験を生かして絵本・児童文学作家になった人だ。代表作『ぐりとぐら』は,あまりにも有名。

宮崎駿監督は,自身の書籍で,中川李枝子さんについて,児童文学の翻訳家である石井桃子さんと同様に,別格の大先輩として名を挙げている。

子どもたちにとっての遊びの世界って,現実と空想の境目がないんですよ。空間にも時間にも束縛されていません。中川李枝子さんは,それをそのまま受け止めて,そのまま書ける人なんです。

『本へのとびらー岩波少年文庫を語る』 宮崎駿 著 自分の一冊にめぐり合う

中川李枝子さんの作品『いやいやえん』という児童文学作品についても,以下のように書かれている。

別格ということでは,中川李枝子さんもそうです。

なかでも一番衝撃を受けたのは,『いやいやえん』です。これは学生時代に読んだのですが,「ついてに出た」というふうに思いました。(中略)この作品の何がすごいかって,子どもも気づかない子どものことが書いてあることです。

『本へのとびらー岩波少年文庫を語る』 宮崎駿 著 自分の一冊にめぐり合う
育休パパ
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あの宮崎駿をして,ここまで言わしめる中川李枝子さんとは一体何者だ!!

絵本のことも,児童文学のことも,全然興味もなく,知らなかった自分としては,この育休期間を機に,中川李枝子さんの書籍や作品を読もう!と決意したのだった。

誤解を恐れずにいうと,正直,絵本は「子ども向け」であり,子どもが読むもので,幼稚なものと決めつけていたところがあった。親になり,絵本に触れることでその考えは,真逆なものとなった。

育休パパ
育休パパ

相手が子どもだからこそ,全力で,まっすぐに,正直に,自分よりも下だと思わずに,関わらなければならない!

きっと,ジブリ作品も,中川さんの絵本も,子ども相手だからこそ,真剣に,本気で作品を作られているのだろうと。

宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』の主題歌を担当した米津玄師さんも子どもが相手だからこそ手を抜かないという思いで『地球儀』を作ったと語っていた。それも当然,宮崎駿監督の影響だそうだ。

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『子どもはみんな問題児。』の概要

『子どもはみんな問題児。』

新潮社 (2015/3/27)

著者:中川李枝子

1935年札幌生まれ。東京都立高等保母学院卒業後、「みどり保育園」の主任保母になる。72年まで17年間勤めた。62年に出版した『いやいやえん』で厚生大臣賞、NHK児童文学奨励賞、サンケイ児童出版文化賞、野間児童文芸賞推奨作品賞を受賞。翌年『ぐりとぐら』刊行。『子犬のロクがやってきた』で毎日出版文化賞受賞。主な著書に絵本『ぐりとぐら』シリーズ、『そらいろのたね』『ももいろのきりん』、童話『かえるのエルタ』、エッセイ『絵本と私』『本・子ども・絵本』。映画「となりのトトロ」の楽曲「さんぽ」の作詞でも知られる。『ぐりとぐら』は現在まで10カ国語に翻訳されている。

お母さんを対象に,中川さんの経験に裏打ちされた子育ての極意のようなことがまとめられている。しかも45のメッセージを見出しとして,そのメッセージを経験談や具体例をもとに,2ページ程度でまとめられているので,普段,読書をしない人でも非常に読み易い。

毎日がんばるお母さんへいま伝えたい、子どもの本質、育児の基本。
「いざという時、子どもは強い」「ナンバーワンは、お母さん」「がみがみ言いたい気持ちを本で解消」……
45のメッセージを収めた、心がほぐれる子育てバイブルついに刊行!

育児初心者,育休をとったパパなどにおすすめしたい本。引用したい言葉だらけではあるが,自分が育休中の父親であることと2児の父親であることを視点に,5つほど激選してこの本の魅力を伝えていきたい。

このブログは,あくまでも読書感想で,誤った解釈をしている可能性があります。本を読んで今の自分が感じたこと,考えたことを書くに過ぎないので,本書の解説文でもなければ,要約でもありませんのご注意を。

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【子どもらしさ】って?

そもそも子どもというのは欠点だらけで,自分なりにいい子になっていこうと悪戦苦闘の真っ最中なのではないでしょうか。だから純情でかわいいのだと私は思います。

『子どもはみんな問題児。』 中川李枝子 著 子どもはみんな素晴らしい問題児

 欠点だらけ。大人こそ欠点だらけ。大人は,あまり自分なりに良い人になっていこうと悪戦苦闘しないのかもしれないな,と感じた。もちろん,すべての大人に言えることではないが。

自分の子と関わる中で,強く感じる。良い子になろう,成長しようと,心の底から思っている。親の期待に応えようとしてくれる。だからこそ,期待をかけすぎずに,のびのびと成長してほしい。親の期待どおりになろうとしないでほしい。親の欲望を満たすために生きているのではないのだから。こういったことは「アドラー心理学」の考え方でもある。

でも,どうしても親というのは,「こんな子に育てたい!」「こんな子どもになってほしい」と期待をかけてしまうもの。親である自分が,自分の都合の良いような子育てをしないようにしたい。

【子どもらしさ】ってなんだろう。それを考えること自体が,子どものことを第一に考える第一歩目なのかもしれない。

わがままを言って当たり前とか,ものを壊してしまって当たり前とか,失敗することが当たり前とか,いうことを聞かなくて当たり前とか,自分の子が子どもらしく在りながらも,成長していく姿を,親として見つめていたい。

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子どもだからこそ対等に。

小さい子には分からないと,きめないで。

『子どもはみんな問題児。』 中川李枝子 著 いざという時,子どもは強い

まだ言葉を話せない1歳の息子でも,なんとなく親である自分や奥さんが話していること,思っていることを理解してくれているなと思う時がある。

もちろん,たぶん理解していないなと思うことのほうが多いけど。というのは,こちら側が理解してほしいように理解はしていないということであって,子どもなりに理解している場合もある。子どもだから,親である自分の思い通りにしたいと,心のどこかで思ってしまっている時もある。

どんな言葉であれ,態度であれ,子どもなりに理解しているような気がする。それは,言葉だけの情報ではなく,表情や態度,声色,声の大きさ,話すスピードなど,子どもなりに,さまざまな情報を読み取って解釈している。

【子どもには分からないから】という決めつけで,話さなかったり,いい加減に伝えたり,問答無用でひっぱったり,ということは,子どもをばかにしているのと同じ。相手が子どもだからこそ,対等に関わることを忘れないでいたい。

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子どもは親と世界を広げていく。

親が子どもの世界を広げてあげること以上に,子育てをすることで,親である自分の世界が広がった。

お母さんの膝の上で本が読める,この時代を大事にしてもらいたいのは,お母さんの感性が素直にまっすぐ子どもに流れるからです。

おはなしの世界はお母さんの言葉になり,体温になって子どもに伝わっていく。人生で最高に幸せなときだと思います。

『子どもはみんな問題児。』 中川李枝子 著 心を寄せ合って楽しめるのは幼児期まで

当たり前のように,子どもを抱っこしたり,子どものオムツを替えたり,絵本を読んだりしていたが,

育休パパ
育休パパ

それって,幸せなことなんだな…。

誰が幸せって,子どもはもちろん,親である自分こそが幸せなのだ。

自分のやっていることや,話した発言,好きなもの,嫌いなもの,得意なこと,苦手なこと,これまで生きてきて沁みついている所作など,良くも悪くも,こどもに沁みわたっていく。場合によっては,沁みこみすぎて,ハイターでも落とせないほど,こびりつく。

それだけ,親の影響力というのは,計り知れない。ただ,自分が生きていて,同じ家に暮らしているだけで,さまざまな情報が,文化が,親から子へ伝わっていく。意図しようがしまいが。

だから,親は,子どもより一歩先にいって成長するんだという姿勢を見せなければならない。親が運転中イライラして,汚い言葉を使っていると,子どもも同じことをする。

親が自らを高めようと,本を読んだり,勉強をしたりする姿を見せていると,その時は真似しなくても,いつかその姿を自然なかたちで子どもが実践するようになる。

子どもと工作をしたり,虫捕りをしたり,外遊びをしたり,積み木をしたり,絵本を読んだり,子どもが主体でやるのもいいけれど,自分が主体となって,子どもも食いついていくのもいいかもしれない。

ぼく自身が,強く思うのは,子どもと関わることで,おもちゃ(特に積み木)の世界,絵本や児童文学の世界を知ることができたので,子どもが親の世界も広げてくれるということだ。

本を読むことは心の体験といいますが,私たちは本のおかげで,さまざまな体験を味わい,生き方を学びます。人生を何倍も豊かに経験することができるでしょう。

『子どもはみんな問題児。』 中川李枝子 著 本は子どもと一緒に読むもの
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子どもが一番身近にみる人間関係が夫婦

いい子に育てたかったら,「夫婦仲良く」

『子どもはみんな問題児。』 中川李枝子 著 こどもが一番いやなのは夫婦げんかです

これは,家庭のいろいろな状況があるので,あまり強くはいえないし,いうべきでもない。

ただ,育休に入って思うのは,見出しの通りのこと。子どもが最も身近に見る大人が親であること,人間同士の関わりを最初に見るのは夫婦関係であること。

これからの人生でさまざまな経験をしていくが,悩みの根源はだいたい人間関係。そのはじめのサンプルが夫婦関係ではないか。

そういう意味では,ただ仲が良いという姿だけを見せればいいというものでもない?と感じた。大前提として,仲良しの姿を見せたいが,大事なのは,夫婦がそれこそ対等で,言いたいことを言い合うこともあれば,我慢することもあっていい,というような姿。

ケンカをしたら,なぜお互いが怒ったのか,なにを許せなかったのか,怒鳴るのではなく,冷静に伝え合ったり,きちんと仲直りする,そんな姿を見せたい。

いや,わざわざ意図して見せなくもいいけれど,どうせ見られるなら,けんかのきっかけから途中経過,どうやって解決し,けんかをしても,仲直りをしたら,もっと仲良くなれるというのを見られたほうがいいかなと。

育休パパ
育休パパ

そうは言っても,うちはあまりケンカはしないですけどね!

けんかを全くしないという意味ではなく,夫婦間に信頼関係があり,言葉のやりとりをしっかりとしていて,やったことややってもらったことに対して「ありがとう」を言い合える家庭であれば,きっと子どもも落ち着いて,安定して,成長していけるのではないかなと思った。

育休パパ
育休パパ

この本に書いてあることではなく,ぼくの理想ですよ。なかなかそうはいかないのが夫婦関係ですもんね。

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子どもが信じるのは,聞いたことよりも見たこと

見出しは,持論を書いてみた。

子どもが何か話しかけてきたら,ちゃんと受け止めてください。

聞こえないふりをしたり,約束を破ったりしないで。子どもに負けないくらい,どんなに愛しているかを態度で示してほしいのです。

『子どもはみんな問題児。』 中川李枝子 著 いいお母さんは子どもの喜びに敏感です

本当に,意識していないとできない。どうしても,子どもの話を最後まで聞けないときがある。奥さんに指摘されて,気が付き,今は改めるようにしている。

子どもは,とにかく見てほしい,聞いてほしいで溢れている。どんなにくだらないことでも(それは大人にとってくだらないだけであって,子どもにとっては最重要なこと),とにかく見てもらいたくて,褒めてほしい,反応してほしいと思っている。

それを無視してしまったら,もう二度としなくなる。子どもから諦められるようになる。どうせ話を聞いてくれないと思われてしまう。

「ちゃんと見ているよ!」と口で言っても,しっかり見ている行動をとらなければ,信じてくれない。

子どもをなめてはいけない。子どもは,よく見ている。観察している。そして,判断する。

ぼくは,あのことなんにもわかっていなかった!

ことばじゃなくて,してくれたことで,あの花を見るべきだった!

『星の王子さま』 サン=テグジュベリ 著

言葉で少々ごまかせても,本当に信用できるのはその人がやったこと。それを心にひめておけば,子どもに対しても,いい加減なことは言わなくなるのではないか。聞こえないふりをしなくなるのではないか。約束を破らなくなるのではないか。

そうすることで,子どもに親としての愛情が伝わるのではないか。

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子どもは世界一お母さんが好き

この本の良さは,上記のような,ふと自らの子育てを振り返りたくなるような言葉に溢れている。それも,著者である中川さんの実体験に基づいているため,具体的でイメージしやすい。

もっと魅力的なのは,たくさんの絵本や児童文学が体験談の中で自然と語られ,子どもと一緒に絵本を読みたくなる点だ。

この本では,子どもはお母さんが世界一だとたびたび書かれている。父親である自分は,少しさみしい気持ちもあったけれど,やっぱり奥さんには勝てない。勝ち負けの意味での勝てないということではないが,勝てない。

勝てないからこそ,「絶対負けない!」と思うことでエネルギーを蓄えるもよし。

勝てないからこそ,「父親の役割は?」と自問し,子どもの成長につなげる試みをするもよし。

というわけで,絶対に育休パパには読んでほしい一冊として紹介した。

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