【変化を楽しもう!】『チーズはどこへ消えた?』に学ぶ30代の生き方【子育て・育児に】

子育て観
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❝この物語があなたの人生を変える!❞と話題だったスペンサー・ジョンソンによる『チーズはどこへ消えた?』を30代の育休パパが読んでみた。

【チーズ】をどんなものと位置付けるかによって,見え方が変わってくるように思う。一番わかりやすいのは,仕事だろうが,今回は家族や家庭と考えて書いてみたい。


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『チーズはどこへ消えた?』概要

『チーズはどこへ消えた?』

 扶桑社 2000/11/27

 原版は1998年9月8日にアメリカにて刊行


「迷路」の中に住み、「チーズ」を探す二人と二匹の物語。時代や状況の急激な変化にいかに対応すべきかといった、人生の様々な局面を象徴している。世界のトップ企業が研修テキストに採用している寓話。内容(「MARC」データベースより)

ビジネス書であり,自己啓発小説でもある。分かりやすい寓話で長くないし読み易い。登場人物も4人しかいない。

人の生き方を変える本なんてそんなに多くはないと思う。人によっても,その読むタイミングによっても,違ってくる。それなのにこの本はどうしてこんなにも世界的に「人生を変える!」とか「生き方が変わった!」などと言われているのだろうか。

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【チーズ】と【迷路】とは

それぞれの【チーズ】

この物語においては,そもそも【チーズ】が人によってちがう。

この「チーズ」は,私たちが人生で求めるもの,つまり,仕事,家族や恋人,お金,大きな家,自由,健康,人に認められること,心の平安,さらにはジョギングやゴルフでもいいのだが,そういうものを象徴している。

『チーズはどこへ消えた?』 スペンサー・ジョン

人によってちがうどころか,年齢や状況,時期によっても「チーズ」は変わってくる。だからこそ,多くの人の共感を呼び,世界的なベストセラーになったといえる。

結婚前までは,ぼくにとっての「チーズ」は,【仕事や人に認められること】だったと思うが,結婚後は【家族】が加わり,子どもができてからは【仕事】はほとんどなくなってきたように思う。

取り巻く【迷路】

となると【迷路】とはなんだろう。

「迷路」は,チーズを追い求める場所を表しており,会社や地域社会かもしれないし,家庭かもしれない。

『チーズはどこへ消えた?』 スペンサー・ジョンソン

追い求めるものによって,舞台や場所が変わるということだ。

仕事をチーズとしている人ならば,迷路は当然仕事になるだろう。チーズを理想的な家族とするならば,迷路は家庭になるだろう。

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4人の登場人物

4人というか,2匹のネズミと2人の小人なのだが,ネズミと小人を対照的なキャラクターとして設定している。

共通しているところは,❝好みのチーズを求め,いつも迷路に探しに出ている❞という点だ。

ネズミのスニッフとスカリー

スニッフとスカリーはネズミだから単純な頭脳しかもっていなかったが,すぐれた本能があり,大好きなガリガリかじれる固いチーズを探していた。

(中略)

単純で非能率的な方法,つまり試行錯誤を繰り返しながらチーズを探した。

(中略)

つねに新しいところへ進んだのだ。

『チーズはどこへ消えた?』 スペンサー・ジョンソン

さらにこの2匹のネズミもキャラクター分けがされている。

スニッフはよく利く鼻でチーズのある場所をかぎつけることに対して,スカリーはひたすら突き進む。

もしかしたら,少年マンガの主人公ってこういう人が多いのかもしれない。行動あるのみで,はじめは心配されがちだが,結果としてそれが好転し人を救うことなどにつながる。

失敗しても,やり直せる!と信じているし,失敗すらも失敗と思わず成功までのプロセスとしてしか捉えていない場合が多い。

小人のヘムとホー

小人のヘムとホーはいろいろな考えがいっぱい詰まった頭をつかって全く別のチーズー真のチーズーをみつけようとしていた。

(中略)

過去の経験から得た教訓と思考による方法をとっていたが,複雑な頭脳にたより,もっと高度な方法をつくりあげた。

(中略)

強力な人間の信念と感情がものの見方を鈍らせてしまうこともあった。そのため迷路で生きているのがいっそう複雑で難しいものになった。

『チーズはどこへ消えた?』 スペンサー・ジョンソン

考えすぎて,動けない人。動かない理由を探していつまでも現状から抜け出せない人。少年マンガでいうと,主人公パーティーのナンバー3にも入れない人。もしくは,頭脳派,策略家で,ネズミのスカリーのようなキャラクターと共にいることで輝く。

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チーズがある時の両者のちがい

ネズミ(スニッフとスカリー)の場合

チーズがあるときも,毎日早起きして,迷路へ急ぐ。いつも通るのは同じ道。

だんだん少なくなっていることにも気づいていたから,いずれなくなるだろうと覚悟していた。

小人(ヘムとホー)の場合

はじめは早起きしていたが,日課が変わり,徐々に遅くなった。チーズがそこにあるのが当然になっていた。

❝やがて二人は慢心するようになった。❞

❝チーズを手に入れれば幸せになれる❞

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チーズがなくなってからの両者のちがい

ネズミ(スニッフとスカリー)の場合

ネズミたちは事態をくわしく分析したりはしなかった。

彼らにとっては,問題も答えもはっきりしていた。チーズ・ステーションCの状況が変わったのだ。

だから,自分たちも変わることにした。

『チーズはどこへ消えた?』 スペンサー・ジョンソン

❝状況が変わったのだから,自分も変わる❞

こんなにも短くて美しい言葉があるのかというほど,感銘を受けた。望んでいるものが目の前から消え去った時,そこに固執することなく,自ら新しい環境に飛び込める人間がどれくらいいるだろうか。

小人(ヘムとホー)の場合

小人は,チーズがなくなったことにひどくうろたえ,失望し,途方にくれた。なぜなくなったか,本当になくなったのか,原因や真相をつきとめようとした。

自分のチーズが大事であればあるほど,それにしがみつきたがる。

『チーズはどこへ消えた?』 スペンサー・ジョンソン

彼らにとって,チーズはすべてだった。もちろん,ネズミにとってもそうだったが,状況や事態を受け入れられず,自分以外のもののせいにして,状況を分析しクリアにしようとする。もちろん,小人には感情も思考力もある。だから,すぐに次へと判断できない。

ここでおもしろいのが,小人の2人にもちがいがあるということだった。

ヘムとホーのちがい

ホーはわりとすぐに周りを見ることができた。そこで気が付いたのが,ネズミのスニッフとスカリーがいなくなったということだった。事態を分析するのをやめて,新しいチーズを探そうと提案した。

ヘムは,「ネズミは単純で自分たちのほうが利口だ」と言い、真相を解明することが大事だといった。

それからしばらく元いた場所から動こうとせず,しばらくその場にとどまった。いらだちや焦りをかかえながら。

そうこうしているうちに,ホーは旅立つことを決意した。

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ホーが学んだこと

遅れをとっても何もしないよりはいい。

『チーズはどこへ消えた?』 スペンサー・ジョンソン

人と比べたり,年齢を気にして,「もう遅い」と思って諦めてしまうことは誰にでもあると思う。

ホーのように「まだ間に合うかもしれない」と行動を起こすことができるのか。ヘムのように,ただ自分から何もせず安住の地に留まり続けるのか。

子育てにしても同じことがいえる。良い子に育てたいのなら,父親である自分も,ひとりの人間として,大人として,親として小さなことでもいいから新しいことをはじめてみたり,挑戦してみたりすることがたいせつだと思った。

新しい考えが新しい行動にかりたててくれたことがわかっていた。

『チーズはどこへ消えた?』 スペンサー・ジョンソン

生きていけばいくほど,経験が多くなり,それを是として行動の原理にしてしまうことがある。今の自分が何でつくられたのか,どう成り立っているのか,そこから逃れることはできない。

だから,過去の経験から未来を見据えてしまう。状況が変わっているのにも関わらず,自分の考えは変われていないということは,長く生きれば生きるほど,固まってしまう。

今までの自分にない考えに出会うと,否定の目線から入ってしまうことが多い。まずは受け入れたり,理解しようとする姿勢をもつことが大事だと思った。

子育てをしているならなおのこと。

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変化を楽しもう

この『チーズはどこへ消えた?』の中でもっとも気に入った言葉がこれ。

❝変化を楽しもう❞

学生から社会人となり,生活環境も社会との関わり方も,人間関係も大きく変わる。

その変化がほんのちっぽけに感じるほど変わるのが,結婚であり,子どもができてからだと思う。

家族がいるから,働き方も変えた。住むところもアパートや実家ではなく,新築戸建て。何より父親になったことについての変化は人生最大と言っていい。

必ず変化は起きる。自分も変わる。自分の考えも変わる。環境も時代も,大切な人の状況も,人間関係も変わる。

子どもなんて特にそう。昨日できなかったことが今日できるようになっている。今日できたことが明日にはできない(しない)こともある。

子どもの状況や変化に敏感になって,なるべくイライラせずおおらかに関わりたいものだ。

言わなくてもできることもある。言わないとできないこともある。言ってもできないこともある。

【より良い子育て】をチーズとするなら,家庭という名の迷路に立ち尽くしたり,迷ったり,どの道をいっても行き止まりになることが多い。

それでも,時にはスニッフのように鼻をきかして変化に気付いたり,スカリーのように方法を変え突き進んでみたり,ホーのようにあれこれ悩みながらも状況から学んだり,ヘムのようにじっとしていたり…。

本書の伝えたいこととはちがうかもしれないが,ぼくは4人の登場人物をうまく使い分けたいと思った。状況によって,いろいろな自分を引き出したい。

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