「育休中の嗜み」と言われて、あなたは何を思い浮かべるだろうか。
読書?カフェ時間?ちょっと贅沢なスイーツ?
僕がこの育休中に出会った“たしなみ”は――家庭菜園だった。
家事育児の合間に、土に触れるという贅沢
2人の子どもと過ごす育休生活は、目まぐるしい。
オムツ替え、食事、寝かしつけ、洗濯。日々はまさにノンストップの育児業務だ。
そんなある日、ふと思った。「何か、自分の手で“育てたい”」。
それは子どもではなく、もっと静かで、もう少し手のかからないもの。
そうして始めたのが、小さなプランターの家庭菜園だった。
芽が出た。それだけで心が躍った
試しにまいたのは、100円ショップで買ったにんじんの種。
土をならし、種をまき、水をあげる。やっていることはシンプルだが、育てるという行為には不思議な高揚感がある。
数日後、土が割れて、小さな芽が顔を出した。
それだけで心が躍った。「育つ」ということの力強さを、久しぶりに実感した瞬間だった。
子どもと一緒に育てる楽しさ
家庭菜園は、自分だけの趣味ではない。子どもたちと一緒に育てる時間も、また大きな喜びとなる。
「水あげる?」「大きくなったね」
そんな声を交わしながら、親子で過ごす時間は、自然と笑顔が増える。
家に帰った時、家を出る時、必ず畑を覗き込む子どもの姿を見て、「やってよかった」と思った。
食卓に並ぶ達成感
小さなラディッシュをサラダに添えるだけで、食卓がちょっと誇らしくなる。
自分の手で育てた野菜を、子どもがそのまま口に入れる瞬間。言葉にできない嬉しさがある。
たったひとつの収穫でも、家族の会話が生まれる。
それはスーパーで買った野菜では得られない価値だ。
半年ほど前に植えたワケギをネギがわりに使っているが、本当に便利。我が家では半年間、ネギを買っていない。
家庭菜園は、育休中の“嗜み”である
「嗜み」とは、丁寧に生きるための姿勢のようなものだと思う。
家庭菜園は、毎日の生活に寄り添い、自然のリズムに触れさせてくれる。
土に触れ、天気を気にし、芽の伸び方に一喜一憂する――その繰り返しが、心を整えてくれる。
育休中という限られた時間だからこそ、大切にしたい“嗜み”がここにあった。
育てるって、いい
子どもを育てること。
野菜を育てること。
どちらも、思い通りにはいかない。けれど、小さな成長に気づくたびに、「これでよかった」と思える。
この育休が終わっても、自分はきっとまた、土に触れたくなる。
育てるという営みの中に、自分を取り戻す感覚がある。
育てるって、いい。
家庭菜園が、それを教えてくれた。