【家族ぐるみ】という言葉を聞くと,どんなことを思い浮かべるだろう。どんなことをイメージするだろう。ぼくは,子どもの頃から【家族ぐるみ】が苦手だった。親の友人家族,知人家族とどこかに行くことがたまにあったが,ぼくからするとただの知らないおじさんとその子ども。それなら,自分の小学校の友達と行ったほうが楽しいし,自分の家族だけのほうがまだましである。
昔から知らない人と会うことが苦手だった。自分をどう表現していいのかも分からなかったし,新しい関係をつくるときって楽しみよりも面倒だなと思うことが多かった。こんな自分はいつどうやってつくられたのかなと思うが,親もそこまで社交的ではないので似た部分もあるのだろう。
というところで少し気が付いたことがある。こんな自分であるから,自分の子もこんなふうに育ってしまうのではないかということだ。
おすすめの理由①他家族の子育て観を知ることができる
子育ては,さまざまなことを与えてくれる。喜びも怒りも充実感も無力感も達成感も悩みも。子育てをすることで人生のあらゆることを経験できるのではないかと思えるほど,満ちている。
子育ての正解はだれにも分からない。分からないからこそ,悩むしネットや本を読んで分かろうとする。誰もなるべく失敗はしたくないから。
ただ,ネットや本で子育てのことを知ると,勇気づけられることもあるが,「自分の子育てはどうかな」「自分の子は大丈夫かな」と心配になる。余計に悩むこともある。
情報を仕入れるなら,さまざまな媒体からバランスよく仕入れる必要がある。ネットと本,どちらも重要だが,生きた情報も必要になる。
それが,他のママさんや子どもと関わることだ。ママ友だけと話すこともいいとは思うが,それだけではなく,実際に子どもとの接し方を自分の目で見ることができるのは,貴重。生きた教材である。
家族ぐるみになるともっと良い。ママと子だけの関係ではなく,夫婦間の関係やパパと子の関係,親子の関係,役割分担,接し方など,ものすごく良いサンプルになる。
他人の家族の育児観,子育て観に触れられる機会は,育児の専門家の講演を聞くよりもきっと意味があることではないだろうか。
さらに,さまざまな【家族ぐるみ】の付き合いをするといい。相手のおうちにお邪魔したり,自分の家に招いたり,昼食をはさむのか,夕食を共にするのか,公園に行くのか,遊園地に行くのか,遠出するのか,その場面に応じた関わり方,各家庭での育児観を知ることができる。
おすすめの理由②子どもの主体性・自立心を育むことができる
子どもは親といると,親のコントロールの下,行動してしまう。他の家族の子どもといると,その子と行動しようとする。子どもの社会ができる。その子どもの社会の中を自分たちなりに行動しようとする。
子どもの社会の中は,親がいない分,自分たちだけで判断をしなくてはならない。親にわがままを言うよりも,子ども同士で折り合うほうが難しい場合もある。
我慢しなければならないこともあるかもしれない。不満があっても言えないかもしれない。言ってしまうと喧嘩になるかもしれない。自分の主張が通らなかった場合,その子どもの社会にいられなくなるかもしれない。
大人に支配されない自分たちの世界,残酷であり自由な世界を経験することで社会性を学ぶ。集団を学ぶ。自分たちでやろうという主体性や自立心も生まれるのだ。
おすすめの理由③より良い夫婦関係に
他の家族と関わることで,自分の家族との違いが見えてくる。あらゆるちがいが。
夫婦の子どもに対する関わり方や役割分担,食事の仕方やルール作り,子育ての考え方,夫婦の在り方,金銭感覚など,何を大事に生きているのかが分かってくる。
他の家族と家族ぐるみで遊んだら,その日の夜か翌日にその時のことを夫婦で話してみるといい。
友人家族の夫婦の特徴,自分たちとのちがい,子育てについて,よかったところなど。
愚痴になるような言い方はしてはいけない。友人家族のママさん,パパさん,子どもの良いところだけをたくさん見つけておいて,その話をする。
参考になったこと,良いところ,真似したいところなどたくさん話すことで,今後の自分の家庭や子育てに活かすことができる。
気を付けるべきポイント
3つのメリットは,デメリットになり得る
起きた出来事に対して,メリットにするかデメリットにするかは自分次第。
どんなことにも表があれば裏があり,二面性をはらんでいる。
①は,他の家族と自分の家族を比較しすぎて,自分はダメだとか自分の子はダメだとか思ってしまう危険がある。
②についても,子どもだけで関わらせすぎてケガさせたり,ものを壊したりして家族間のトラブルに発展してしまう危険もある。
③は,友人家族の愚痴を言って夫婦間の仲が悪くなったり,悪口を言いすぎることで本当にその家族を嫌いになってしまう危険もある。ママの友人家族とばかり会っていて,パパは全然楽しくない,苦痛だという場合もある。もともとのママの友人家族,パパの友人家族とバランスよく付き合うといい。
親も新たな出会いに挑戦
【家族ぐるみの付き合い】に消極的なのは,女性よりも男性のほうが多いように思う。
ぼくもそうだ。めんどくさすぎる。これまで30年以上生きてきて友人もいるし同僚もいる中で,なぜ新しい人間関係を増やす必要があるのか。
ぼくもそうだった。奥さんの友人に会うこと自体,苦手だった。今でも苦手ではある。
ただ,すべては子どものためになるのだ。自分が新しい出逢いに挑戦する姿は子どもも見ている。
子どもだって,毎日常に新しいこととの出逢いの中,さまざまなことを経験し学んでいる。
子どもをよい子に育てたいなら,親も成長しようと努めるべきであるし,夫婦で仲良しのほうが良いに決まっているではないか。
人間同士が関われば,軋轢も生まれる。嫌なことも面倒なこともたくさんある。でも,それが社会だ。
子どものうちに,さまざまな人と関わることはいつか必ずかけがえのない経験になる。
だから,大変,面倒,嫌,苦手。そんな【家族ぐるみ】の付き合いに挑戦しよう。
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