子どもになったつもりで1年を振り返る②1歳3か月の男の子編

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2023年1月1日~12月31日までの1年間をぼくの息子(現在1歳3か月)になったつもりで振り返ろうと思う。

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泣くしかできない日々

2023年1月はまだ生後3か月。正直,何もできなかったなぁ。本当にできることと言えばただひとつ。「泣くこと」だ。おなかすいても泣くしかできない。退屈でも泣くしかできない。寝て起きても泣くしかできない。おむつ替えてほしくても泣くしかできない。さみしくても泣くしかできない。だっこしてほしくても泣くしかできない。今年が人生でいちばん泣く年になっただろうなぁ。これ以上泣く年があったらつらいなぁ。ぼくにできることは「泣くこと」だった。精一杯泣いた。最大限の努力なんだよ。ママはやさしい。ママのおっぱいはおいしい。ママの隣で寝るのが大好き。夜中おっぱいほしくて泣いたらすぐくれる。本当にすぐ。安心したなぁ。幸せだったなぁ。ぼくにできる唯一の努力「泣くこと」に応えてくれたママ,ありがとう。パパもよくだっこしてくれたなぁ。泣き止まないとき,イライラしてたのは怖かったけれど,泣くたびにだっこしてくれた。ぼくは学んだよ。努力は報われるって。

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寝返り中に笑ってんじゃねーよ

寝返りするのも楽しかったな。寝返りすると,ママもパパもめちゃくちゃ喜んでくれた。その笑顔を見ると,ぼくもいっぱい笑顔になった。でもさ,寝返りするってどういうことかわかる?移動したいんだよ。「泣くこと」以外でできるようになったことが寝返りだよ。寝返りすると,ぱちぱち拍手してくれて,いっぱい笑ってくれてうれしいけど,そうじゃなくて助けてほしいんだよね。移動したい時とか背中むずむずする時とか,だっこしてほしい時とかに泣く代わりに寝返りすることもあるわけよ。笑顔でぱちぱちじゃなくてさ。移動するの手伝ってよ。まぁ,笑顔になってくれるだけでもいいけどね。

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屈辱のハイハイレース

いやー,ハイハイ得意だったな。たのしかったもん。ハイハイ。正直,ハイハイできるようになってからは世界が変わったね。広くなったっていうのかな。解き放たれるっていうのかな。解放感すごかった。あ,世界って思ったよりせまいのかもって思えたね。今まではせいぜい寝返りして,寝返り返りして,行動範囲が半径2mとかだったのがさ,ハイハイできるとどこまでも行ける気がした。さわりたいものにさわり,つかみたいものをつかむ。やっと自分の人生がはじまったって感じたね。自分からママやパパ,お姉ちゃんのところに行けるって本当に幸せだったよ。ぼくが近づくだけでみんな笑ってくれたしね。でも,悔しいことがあるなぁ。ハイハイレース。ママと行った時は,優勝したけどさ。なんかもうあれで満足したっていうか。あれ以来,もうそこに情熱みたいなものはなかったな。パパと行ったハイハイレースは,ゴールしなかったどころか動く気にもなれなかったもん。対戦相手1人しかいないし,スタート直後泣き出すし,こっちもやる気失せたね。お客さんも全然いなかったし。パパとママとおねえちゃんと行った大きいハイハイレースはすごかったな。人の数。あれは逆に規模がでかすぎて萎縮しちゃったよ。パパはお菓子で釣ろうとしてたけど,あのお菓子食べたことないっちゅーに。食べたことないお菓子求めて全力なんて出せなかったな。でも,歩けるようになった今,あのとき本気出して優勝していればって思うよ。もう二度とハイハイレースには出られないしね。

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まずくはないんだけどね

それから最初はきつかったな。離乳食ってやつ。やっぱりさ,ママのおっぱいが一番いいわけよ。生まれてからほぼそれしか口に入れてなかったし。何よりあの感触ね。やめられないんだわ。かわりに指ばっかりしゃぶったけどさ。やっぱママのが一番いいよねー。哺乳瓶の先っちょも悪くはないけどね。でさ,いきなりおかゆみたいなやつとか,口に放り込まれると困ったねー。なんじゃこの味はって。食べたことないもん。みんなそうでしょ?食べたこともない謎のどろどろを口に入れられたら,おえってなるでしょうよ。それなのに,パパったら,本当にしつこいし,諦めが悪かったなー。全部食べないと解放してくれないしね。勘弁してくださいって。なんていうのかな,べつにまずいってわけではないんだよねー。まずくて食べないっていうよりは,ママのおっぱいが飲みたかったというかさ。たくさん口に詰め込まれたら余計に嫌だってなるんだよ。でも,パパは何とかして食べさせようとしてたなー。笑わせようとしてくれたり,スプーンをあれこれ試してくれたり,ママもぼくが食べたいものを食べられるように,すぐ手づかみ食べにしてくれたな。うれしかったな。そのおかげでいっぱい食べられるようになった。ありがとう,ママとパパ!おねえちゃんもあーんってしてくれたね。

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つかまり立ちからがむずかった

つかまり立ちするのはさ,けっこー簡単だったんだよ。わりと楽だったっていうかさ。つかまるところさえあればすぐに立てたし,つかまりながら歩けたし。でも,そこからが大変だったなー。つかまるところないのに,どうやって歩けと?二足歩行むずかしすぎる!やっぱ頭重くて,つかまらないと立っていられなくてもう大変!こえーし。勇気出して,何歩か歩いてみるけど,こけちゃったりしてね。目の前に角があるともう気絶しそうになっちゃうよ。実際,ぶつかったこともあるし。というか,バランス難しくて,頭重いと後ろにどーんってなるんだよねー。足じゃ支えられなくてさ。今年,何回くらい頭打ったかな。人生でこんなに頭打つ1年間はもうないと信じたいね。頭だけじゃなくて,顔面も打ったなぁ。ある程度,歩けるようになったら調子乗っちゃって,後頭部よりも顔面打つことのほうが増えちゃったよねー。あれは痛かったなぁ,水道の蛇口みたいなところで鼻とか唇とか血まみれになって腫れてさ。おでこにアザもよくできたな。気をつけて歩こう。2024年はなるべくケガしない年にしたいな。

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くるまはひま

そろそろ車に乗せられるのしんどくなってきたな。まぁ仕方ないんだけどさ。それにしても愛知やら長野やら岐阜やら東京やら静岡に行った旅行は長かったなぁ。ずっとじゃん。もうずっと座ったまま。同じ体勢。疲れるよ,あれは。ただ,あの時はまだギリましだったかな。まだそんなにつかまり立ちくらいしかできなかった時だし,歩けるようになってたわけでもないし。今だったらきついなー。1時間くらいが限界よ。5時間とか無理無理!どちらにしても暇なんだけどね。車の中は。外の景色がいいなって時もあるけどさ。おねえちゃんがかまってくれるときはうれしいけどね。

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指だけはやめられない

さっきも言ったけど,やっぱやめられない!おっぱい終わるの早かったし,指くらいはまだまだいいよね。最近,指がかっさかさだけど,それでもしゃっぶらずにはいられないんだよねー。なんでかな。落ち着く?安心みたいな?喫煙者みたいな感じかな?ないと落ち着かないっていうか。大人がことあるごとに無意識にスマホ見ちゃってるのとあんまり変わらないかもね。ぼくもそうだよ,無意識に,気づいたらちゅぱって。酒好きの人が酒がなくなったら気づいたらコンビニ行ってるとかいうじゃん?あんな感じ。でも,そろそろやめないとね,それも分かってるんだけどね。お金かかるわけじゃないし,まだいいよね。

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だいすきなおねえちゃん

おねえちゃんが近くにいると,パパやママがいなくても大丈夫なんだ。よく「おねえちゃんいるから大丈夫よ」って言ってくれるし,おねえちゃんが遊んでるとぼくも同じことしたくなるし。でも,そのときいつも,おねえちゃんがつくったものとか遊んでたものを壊したりさわったりして怒られちゃう。一緒に遊びたいだけなのになぁ。間違えてよくおねえちゃんの顔をぺしぺしやってしまって,おねえちゃんを泣かせてしまうことがある。それでも,おねえちゃんは絶対ぼくのことを叩かない。殴らない。よく大声は出してるけど。「んんんんんおおおおお!」みたいな感じで。でさ,「そんなことするなら,もう遊んであげないからね!!!!」っていうけど,すぐまた遊んでくれる。やさしいおねえちゃん。ぼくがこけて泣いていたら,いつも「だいじょうぶ!!!?」って言って近くに来てくれる。本当にやさしいおねえちゃん。ぼくと結婚するって言ってくれてる。うれしいな。これからもずっといっぱい遊んでね,おねえちゃん。

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1年をふりかえって

人生ではじめて丸1年を過ごしたこの2023年。楽しかったな。できることが増えた。泣くことだけだったのが,寝返りしたり動いたり,さわったりつかんだりにぎったり,わらったり食べたり声を出したり,つかまり立ちをしたり歩いたり,丸い穴にものを入れたり,積み木をつんだり。食べ物もいっぱい食べられるようになった。最初は,まじかと思った。え,一生おっぱい飲めなくて,こんなわけのわからないどろどろを食べるのって。でも,慣れるとおいしくなった。パパにいっぱい散歩してもらった。ママにいっぱいいろいろなところに連れていってもらった。楽しかったな。世界って広いな。もっと知りたいな。次の1年はどんなことができるようになるだろう。パパもできることが増えたって言ってた。パパの年齢になってもそうなのか。できることがどんどん増えていくって楽しいな。1年後の今日は,きっといっぱいしゃべってる。早くママやおねえちゃんとお話できるようになりたいな。パパと公園でボールで遊べるようになりたいな。

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