昨今、男性が育休を取得することに関しての是非が語られているが、合理的に考えて取る以外の選択肢はないだろう、というのがぼくの結論だ。
「子どもと関わりたい!」「育児をしたい!」「奥さんを楽にしてあげたい!」というキラキラパパみたいな理由でははく、極めて合理的な理由を書き連ねていく。
いつでも働ける。
人生(80~100年)の間で、健康かつある程度のお金がもらえて、合法的に仕事を休むことが可能なのは子どもが1歳になるまでの間の1年間しかない。
20代で就職して、退職するまで(おそらく、ぼくらの年代では70歳まで働かなければならない)の約40年間、働き続けなければならない。
約40年間、働き続ける中で仕事をせず、家族や子どもや自分と向き合えるのは、子どもの数×1年間しかない。(公務員の場合は1歳以降無給ならば3歳になるまで育休を取得することが可能)
40年間働くうちの1年や数か月ほどしか休めないのなら、休めばいいじゃんというのは自然な発想ではないだろうか。
身体が健康である前提にはなるが、いつでも働ける。20代でも60代でも内容を選ばなければいつだって働き続けることができる。
この期間に仕事を休むことができるのは、育休しかない。
老後ではダメな理由
ここで反論として、老後のことを言われそうなので触れておく。
たしかに、老後は、お金もある程度あって自由な時間がたくさんある。働かず、休んだり好きなことをしたりするのは、老後で十分だという人もいるだろう。
育休と老後で、圧倒的に違うのは、選択したかどうかだ。老後は選択肢として、仕事しないという選択を選ばざるを得ない状況になっている。育休はちがう。働けるけど、自ら育休を選択したということだ。
ぼくが考える「自由」とは、❝その時にしかできないことを自分自身で選択できること❞だと思っている。
多くの大人には選択肢がない。仕事を辞めたくても、家族がいたり、家のローンがあったりで辞めることができない。つまり、自由ではない。その不自由さに、不満やストレスを抱え、ある時にふと思ってしまう。「自分の人生とはなんだったのか」と。
老後に休めるという理屈もそれと同じだ。休むしかない。選択して休んでいるというよりも、新しく仕事を探す労力も気力もない。
今、関わらないでいつ関わる?
批判を恐れず、単刀直入にかく。
子どもが最もかわいいのは、0~3歳だ。間違いなくそう言い切れる。もちろん、4歳以降の子どももかわいい。かわいすぎる。ただ、かわいさの次元というか、見地というか、そういうものが全然ちがうのだ。土俵が違うというのか。
老後になって、成人した我が子と関わりたいと思うか?仮に思ったとしても、3歳までの関わり方で大きく変わってくる。
モントリオール大学の心理学者、ダニエル・パケット博士は、父親と活発な遊びを多く経験した子どもは、不慣れな環境においても果敢にチャレンジしていく傾向が強くなるという研究結果を報告しています。
もちろん、様々な理由で普段は父親と関われない子どもがいる。子どもと関われない父親がいる。ただ、関わらないよりは関わったほうがいい。
良くも悪くも、小さいうちは影響力が大きい。影響力うんぬんかんぬんを置いておいたとしても、本当にかわいい。なんで、こんなにかわいい生き物と関われるチャンスがあるのに関わらないのか不思議で仕方がない。
正直、ぼくは、いわゆる一般的にいう「子ども」は好きなほうではない。苦手だし、関わらなくていいのなら関わりたくはない。そんなタイプのぼくでも、3歳までの我が子のかわいさは異常だった。
逆にいうと、小学生以降は徐々に関わりが減ってくる。子どもも親にかまってほしいとは思わなくなってくる。
今しかないのだ。
「今しかできないことをする」極めて合理的だと思う。
できることが増える
父親というだけでなく、夫としても、人間としても、できることが増える。
育休に入ると、育児と家事が自分にとってマストのやらなければならないことに位置する。今までやっていたように感じていた育児も家事も、0~10までやるとまた違う。
よく言われる「見えない家事」「名前のない家事」もやる必要がでてくる。
今までやってこなかったことをやる。それだけで人として成長する。
今までできなかったことができるようになる。それだけで人としての幅が広がる。
こういう姿を子どもも奥さんも見てくれている。何よりの子育てになる。
仕事しかできない自分でいいのか?
仕事をすることはかっこいい。たしかに、かっこいい。
ただ、それしかできないとなると、かっこ悪いと思うのはぼくだけだろうか。
もちろん、家計が苦しい・経済的な理由で育休を取得できない人もいるだろう。ただ、女性は産休手当金や出産一時金などがある。男性の育児休業も育児休業給付金や手当金がある。そういったものを活用すると、生活ができないことはない家庭が多いのではないだろうか。
育休を最低限にして、すぐに復帰する人は仕事しかできないのか?絶対にもったいない。自分は育児には向いていないからと育休を取れる状況にあるにも関わらず、取らない男たち。そんなに仕事が好きか。そんなにお金が大事か。
ぼくも仕事人間だった。結婚するまでのぼくは、充てられる時間は全部仕事に費やしていたような人間だった。ただ、環境が変わった。家族ができ、子どもが生まれた。時代は「働き方改革」とか言っている。
環境が変わったのなら、自分も変わるべきだ。環境が変わったのに、自分が変わらない人間は、いつも環境のせいにする。今こそ自分が変わるべき時なのに。
雨が降ったら傘をさすのは自然なことだろう。傘もささず、買いにも行かず、「雨が悪い!」なんて言っていても仕方がない。
その時に置かれた環境を最大限楽しもうとする。それが育休を取る大きな意味ではないだろうか。
夫婦仲がよくなる
いかすもころすも自分次第。
育休は、普通に考えて仕事を休んでまで、育児や家事を中心に生きることであるので、夫婦仲がよくなるに決まっている。
実際、ぼくが1年間の育休を取って仲がよくなった。もともと仲は悪くなかったが、もっと良くなった。言い方としては、絆が深まったというほうがしっくりくる。
家族を含めた人生設計のために、FP3級を取得したことも大きかった。家族や人生のためになる資格取得は、ものすごく広い意味で育児とつながってくるので、悪いことではない。
資格の勉強も、自分という人間が成長するという意味では、子どもに良い影響を与えることは間違いないので、おすすめする。当たり前だが、日頃の家事や育児の時間を削って資格取得の勉強をするのは間違っているが。
そういったことも、夫婦で話し合って、お互いの「ひとり時間」を確保すればいい。交互に子守をして、一方が自由な時間を確保するといったように。それも、夫婦で協力すればいい。
ぼくたちは「家事の役割分担」もやめた。いわゆる「家事シェア」をしている。できるときに、できるほうがやる。自然と50-50くらいに落ち着いている。
今しかできないことを選択する
育休は子どもが1歳になるまでの1年間しか取得できない。人生80年のうち、せいぜい2年くらいのもの。
その2年が今、目の前にあるなら、それを選択するのが合理的だと思う。単純に。
いろいろな理由があるのは分かる。
奥さんが取ってほしくないという場合もある。
上司が取らせてくれないという場合もある。
お金の面で働かなければならない場合もある。
自分が家事や育児ができないからという場合もある。
復帰後が不安だという場合もある。
ただ、もう一度言う。
今しか取れない。子どもが大きくなって、取れるわけでもない。その頃には取る必要もない。
今しかないのだ。
「今しかない」のに、なぜ逃す。
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